「もう、どこにもいかないから・・・・・」 EX『Missing you』 無理矢理、いやがるアイツを、アイツの意思なんか全く関係ナシに元の世界に帰してしまった。 帰すべきだと、俺がそう思ったからだ。他の誰に言われた事でもねぇ。 ここにいたら、いつかアイツは死ぬかもしれない。自分よりも他の誰かを大切にするヤツだから。 本当は誰よりも優しいくせして、いつも表面じゃつっぱって振舞っている。俺達四人の誰の前でもそうだった。 ホント素直じゃねーんだ。不器用というか上手く表現できてねーっつーか。 ま、俺も人の事は言えねーがな・・・・・・。 でもアイツは帰ってきた。自分自身の意思で。まるで絶対絶命だった俺達の状況を察知するかのように。 出逢った時と同じ、蒼のけもののような瞳をして―-。 俺達の、俺の所に帰ってきた。 もう。絶対離したくねぇ・・・・・。 「さ、悟空ゴハンだよっ!!どーっせロクなもの食べてなかったんでしょ?」 「うわーーーー!!スッゲー美味そう!!!いっただっきまーすっ!!」 「あ!!サル!!!それは俺のエビフライだろうが!!返せ!!」 が一行の元に戻って二日。久しぶりに彼らの食卓に華が咲いた。 といっても彼らにとっては10日以上という時間も、にとってはまる一日ほど。桃源郷と彼女の世界の時間の速さは全く違う。 だからにはそこまで長い時間、彼らと離れていたとは感じられなかった。 しかし彼らは・・・彼らにとっては・・・・・。 「やっぱの作るメシが一番最高だよ!!他のどんな店の料理も敵わねぇもん!!」 「あーったり前でしょ。一体誰が作ったと思ってんの?他のと同じにしてもらっちゃぁ困るんだから!!」 「自分で言うヤツがあるかよ。ま、確かに否定はしねぇがな。美味いのは俺も認めてるしな〜、コレでもっと女らしかったら嫁に貰ってやるのによー・・・もったいねぇ。」 「アンタの嫁なんざこっちから願い下げだよ悟浄。それならサル山の大将のトコにでも嫁入りした方が全然マシ。」 「ムッ、なんだよまでー俺には大将なんかいねぇぞ!!」 「ハハハ、違いますよ悟空、今が言ったのは例え話です。悟浄みたいな甲斐性なしの所にお嫁に行くくらいならその方マシ、と言っているんですよは。」 「あ、そっかーそういう事かー納得!!ウンウン、俺もそう思うな!!」 「でっしょー?サルの方が絶対甲斐性あるって!!サルのほうが頭もゴキブリより全然良さそうだしさ!!」 「・・・・・テメェら・・・・・何気に酷でぇ事言ってるって、気がついてねぇのかオイ。」 が作った料理を彼ら四人がテーブルに座って取り囲むようにして食べている。 一番箸を進めているのはもちろん悟空。話に入りながらも遠くにある料理まで手をあますところなく出している辺りはさすがだ。 すでに食べ始めたばかりだというのに、もう彼の前にあった皿はほとんど空っぽだ。 悟空の食欲が尋常じゃない事は知ってはいても、こんな風に自分が作ったモノを美味しそうに食べて貰えると嬉しい。 彼の笑顔が見られるだけでも、また次も頑張って作ろうと思える。 自然との顔がほころんだのを、悟浄と八戒の二人は見逃さなかった。 やっぱコイツは、笑ってるのが一番なんだ。彼女が微笑んでいるのを見るとそう思わずにはいられない。 久しぶりに温かい空気が彼らの時間を包む。たった一人の少女がそこにいるだけで。 しかし、1人だけ普段と変わらない、いや普段以上の仏頂面で黙り込んでいる男が居た。 真っ白な法衣に身を包み、金糸の美しい髪を持つ、玄奘三蔵その人。 他の三人がの作った食事にどんどん箸を進めているその一方で、彼だけは酒のつまみ用にが用意した料理しか 手をつけていない。しかも明らかに口に運んでいるのはつまみよりも酒だ。 その三蔵の様子を見て、向かいに座っていた悟空が口を開いた。 「なぁー三蔵。なんで全然食わねぇの?どっか悪いのか?」 「・・・・・口に合わなかった?割と今日は三蔵好みに味付けしたんだけど・・・。」 「いや、そうじゃない。ただ食欲がねぇだけだ。」 「どこか体の具合でも悪いんですか?それとも一昨日刺客に襲われた時に怪我でも・・・・。」 「なんでもねーよ。・・・・・気分が悪い、俺はもう寝る。部屋に近づいたヤツは殺すぞ。」 そう言って三蔵は席を立とうとした。眉間にはいつもより2割程皺が寄っている。普段から何者も寄せ付けないオーラを放っているこの男が、今日はいつも以上の雰囲気を漂わせている。 だがそんなオーラなどおかまいなしに、つけていた水色のエプロンを外しながらが話し掛けた。 「待って三蔵。後で話がある・・・寝るのはもうちょっと待ってよ。」 「俺はお前と話す事なんざねぇよ。用があるなら明日にしろ、俺は眠みーんだ。」 「大事な話なんだよ。今夜じゃなきゃダメなんだ・・・頼むよ、絶対起きてて、後で部屋に行くから・・・。」 憂いのある蒼の瞳に、真剣な表情で見つめられて三蔵は部屋へ戻れなくなった。 彼も十分に自覚しているつもりだったが、再認識したようだ。 俺はこの瞳に弱い。普段はけものみたいな鋭い瞳(め)で俺らを見るくせに、時々こんな男を誘うような泣きそうな、憂いを帯びた表情もしやがる。 コイツ分かってんのか・・・?自覚してやがるのか・・・? テメェの表情一つが変わるだけで、この俺が息をするのも苦しくなるって事を。 目が合うだけで、全身だけじゃなく心までもが狂わされそうになるって事を。 しばらく無言であった二人だったが、先に三蔵が言葉よりも先に溜息をこぼした。 とうとう、の蒼色に完全に折れたようだ。 「あんまり長いようだったら話が終わろうが終わろまいが追い出すぞ。俺が眠くなったら寝る、それでいいな?」 「うん、ありがとう。後で温かいお茶持っていくから。」 三蔵が部屋のドアを静かに閉めて出て行った。その後、すかさず悟浄がにフォローする。 愛用のハイライトに慣れた手つきで火をつけると、部屋中にタバコの香りが広がる。 「ったくあのクソボーズは、ホント素直じゃねーなぁ。話す事なんざねぇ、だってよ?ホントは誰より一番会いたくて仕方なかったヤツがよく言うぜ。だいたいハラだって減ってなきゃオカシーっての。ずっと断食もどきの事してやがってんだぜ、。」 「断食?三蔵が?ウソ?」 「ウソじゃありませんよ。アナタがいなくなってから10日間ほどありましたけど、三蔵ずっとほとんど水だけで食事をとっていなかったんです。さすがに僕らも心配になって何度もちゃんと食べるように言ったんですけど、人の話を聞くような人じゃありませんし。」 「あの三蔵が断食!?信じられない・・・」 「俺だって流石に目を疑ったぜーあの自己中俺様残虐坊主が断食なんてよ。とうとう中身がまともな坊主になっちまったのかと本気で心配になったモンな。」 「そういえば・・・ちょっと痩せてたような・・・ヤダ、なんで気がつかなかったんだろう!!あたし・・・」 が思い切り動揺する。席に座って両手で口を押さえ下を向く。普段の彼女なら絶対にありえない。 らしくないというのはまさにこの事だろう。 だがそんなをよそに、テーブルの上にあった食事を残さず食べ終えた悟空がをじっと見て話を始めた。 「、三蔵は食べたくても食べられなかったんだよ。俺には分かる。」 「悟空?」 「さっきも言ったけどさ、がここに来てから俺らずっとのメシ食ってたわけじゃん?が作るメシって、他の誰が作るメシより暖かくて旨いんだよなぁ。だからさ・・・なんて言ったらいいのかなぁ?」 「もしかして、が作る食事に完全に慣れてしまって、舌が受け付けなかった。ということですか?」 「うん、でもきっと三蔵はそれだけじゃないと思う。がいない間静かだったし・・・それに・・・。」 悟空が言葉を言い終わるのを待たずに、が勢いよく席を立った。 手に持っていたエプロンをキレイにたたんで、すぐさま八戒の方向を向いた。 「八戒、後でお茶煎れて持ってきてくれるかな?自分で持って行くとか言っといて悪いけど。」 「ええ、構いませんよ。でもお邪魔しちゃ悪いんで、結構遅めに持っていきますね。ごゆっくりどうぞ♪」 「ありがとう、って何がお邪魔なの?」 「いーからホラ、さっさと行けよ。早くしねーと三蔵のコトだ、10分としねーうちに眠っちまうぜ?」 「っと、そうだった!!あ、悟浄!!後の片付けは頼んだ!!」 悟浄の言葉に後押しされ、は急いで部屋を出て行った。 しかし最後の言葉に、悟浄は顔を曇らせた。 「ってオイ!!なんだ最後のは、俺が片付けすんのかよ・・・なんで俺が!?」 「いいじゃん、いっつも悟浄食ってばっかなんだから、たまには働けよ。」 「食うしか脳のねぇ食欲猿にだけは言われたくねぇなぁ!!テメェが片付けりゃいいだろうが!!」 「俺は悟浄と違っていっつも片付け手伝ってるモンね!!の買い物だっていっつも付き合ってるし!!」 「んなの威張れるようなコトかよ!!そういうコトは旨い茶の一つでも煎れられるようになってから言いやがれ!!」 「もう悟浄・・・またそんなムキにならないで。・・・でも悟空、貴方だって三蔵の事言えなかったんじゃないですか?三蔵程ではありませんでしたけど、貴方だってこの10日間全然食べて・・・」 「俺はいいんだ八戒、俺は平気だから。・・・が帰ってきてくれて俺、スゲェ嬉しいから・・・だからいいんだ。」 「・・・・・。」 「悟空・・・。」 ◆◆◆ (コンコン) 「っと、三蔵、入るよー?」 乱暴な彼女にしては優しくノックした。普段はノックとは無縁なだが、それをした所を見るとどうやら入る前から緊張しているらしい。 ノックしてしばらく部屋の中の人物が返事をするのを待ったが、それもなさそうだった為、ゆっくりドアを開けた。 ドアを開けると、部屋の中は薄暗く明かりはついていない。本当に悟浄が言っていたように眠ってしまったのだろうか。 だがわずかに暗闇の中で、三蔵の金糸の髪が踊っているのをは見逃さなかった。 明かりはついてはいないが、姿が全く見えないわけではない。 ドアのそばにあった電気のスイッチをつけようかとも思ったが、部屋が暗い所を見るとわざとつけていないのだろう。 それを考えたは、スイッチに手をかけて止めた。もしつけたりしたら暗闇でも三蔵の銃弾が飛んでくるのは間違いない。 窓際のベットの上で、三蔵がマルボロをふかしながら座っている。薄暗いというのに彼の姿をの瞳は捉えた。 どうしてここまで彼は暗闇でも目立つのだろう。外見がそうだからと言えばそうなのだが・・・。 この男は、なんだかそれだけじゃない。そんな気がする・・・・・。 「もー何よ明かりもつけないで、暗いなー。・・・起きてるよね?三蔵?」 「・・・テメェが起きてろとか言いやがったんだろうが。用件はなんだ?とっと済ませろ、俺は寝てぇ。」 「うん、まぁ・・・分かってるとは思うけど。」 そう言うと、は三蔵が座っているベットのすぐ隣に座った。しかし彼の方は向かずに、三蔵が窓の外の月を見上げるようにして座っているのに対し、は彼とは逆に背中合わせの体勢になった。背中の距離は近い。 でも、心の距離は・・・・・? 「ねぇ、あたしが何を言いたいのか、分かってるよね?」 「・・・大方の予想はついている。」 「怒ってるのも、分かるよね?何で怒ってるのか分かる?」 「バカにするな。自分がした事も覚えてらんねぇ程、俺はまだボケちゃいねーんだよ。」 「覚えてるんならいいや。・・・あたし、ホント怒ってるんだよ?冷静に話をできてはいるけど、今だってアンタを殴りたくて殴りたくて仕方ないんだ。・・・あんな、人の意思完全に無視したような、あんな・・・・・。」 「・・・悪かった、許せ。」 「許すとか許さないとかそういう問題じゃない。正直ショックだった。まさか三蔵があんな事するなんて思ってなかったから・・・。」 背中合わせに座ったの背中が、声が、少し震えているのが三蔵には分かった。 しかし彼はその理由を、彼女が震えているその原因をすべて分かっていながら口を開いた。 「無理矢理薬を飲ませたことか?キスくらいでいちいちガタガタ言ってんじゃねーよ。」 (ガッシャアァァァ――ン) 部屋に備え付けられていた予備の灰皿をが投げつけた。 しかし投げつけたはずの三蔵には当たらず、灰皿は床に転がった。 彼女の中で張り詰めていた何かが、我慢していた何かが三蔵の一言によって切れたようだ。 顔を耳まで真っ赤にして、震えながら声を発する。 だが三蔵は、その彼女の表情に顔色一つ変えなかった。 「・・・・・今なんて言った?キスくらい、だって?」 「聞こえなかったのか?何度でも言ってやるよ、キスくらいでいちいちガタガタ抜かしてんじゃ・・・」 「そりゃアンタにとっちゃー何でもない事だろうよ!!慣れてそうだし!!・・・でも、でもねぇ、あたしにとっては・・・」 下を向いて先ほどより小刻みには体を震わせる。 しかしそれにも関わらず、三蔵は全く関係ないとでも言うように、少し間を置いて続けた。 「・・・・・初めてだったのか?」 またしても三蔵の言葉に反応したは、勢いよく後ろの三蔵の方を振り返って手を上げようとした。 三蔵は予想通りだったとでも言うように、彼女の拳が自分の顔に入る寸前での右腕を掴んだ。 手を上げようとしていたのその形相は・・・・・。 普段の可愛らしい、優しい顔をした彼女ではなく。 本当に彼女が怒りをあらわにした時の、鬼のような表情。 彼女が持っている全ての憎しみを一つ残らず全部、自分に向けていると言っても過言ではない程の。 「!?離せっ!!!このクソ淫乱ボーズっ!!!!」 「相変わらず手も早ければ口も減らねぇ女だな。なんて顔してやがんだ、普段から見られねぇ顔がさらに見られなくなるぞ。」 「誰のせいだと思ってんだよ!!あたしがこんな顔になってるのは!!・・・違う、こんな事が言いたくて来たんじゃない・・・。」 「・・・・・」 「そりゃアンタにとってはキスなんて何でもないんだろうけど、でも、でもねぇ!!あたしにとっては・・・大事な・・・」 そういい終えるまでにゆっくり腕を撫で下ろすと、三蔵も同時に掴んでいた手を離した。 「大事な、ファーストキスだったんだ・・・・・。なのにあんな無理矢理!!いくら薬を飲ます為だったとはいえ、他にも方法はあったハズでしょ!?」 「帰れと言って素直に帰るような女じゃねーだろうがお前は。それとも、言えば素直に帰ったのか?」 「んなワケないでしょ!?だいたい、なんであたしが帰らなくちゃいけないんだよ!?決めたんだ、自分とこの世界の繋がりに決着をつけるまでは絶対帰らないって!!前にも言ったでしょ!?」 「・・・・・」 「そりゃアンタはあたしを嫌ってるだろうから、さっさと帰したいんだろうけど。でもそうはいかない!!何度でも言うよ、絶対帰らないから!!それに・・・」 「それに、なんだ?」 「それにっ・・・・・。」 「あたしは、アンタ達を死なせたくないんだ。大事だって思うから、自分ができることの精一杯で守りたいから・・・。」 最後は言葉が途切れそうになる程の小さな声だったが、三蔵にははっきりと聞こえた 確かに今、目の前の少女は言った。 ”守りたい”のだと――――――。 そうか、コイツも。 ――――――同じじゃねーか。 俺と、同じだ。 「だからっ、いくらアンタがあたしを嫌ってようと、帰したいと思っても絶対帰らない!!守らなくちゃいけない人がいるから・・・。」 「・・・・・」 「今回の事は忘れてあげる、ホントはブン殴って道端に転がしたいんだけど!!・・・話はそれだけ、じゃね、おやすみ!!」 「待てっ!!!」 がベットから離れドアへ向かい部屋を出て行こうとしたその時、三蔵は言葉を放つのと同時に再びの肩を掴み。 抱き寄せた。優しく。 なに・・・?何が起きたの・・・? 「ちょっ、三蔵!?いきなり何・・・離してっ、苦し・・・・・」 「うるせぇ、ホントにお前は口の減らねぇ女だぜ、ったく。」 「だったら何!?離れてよ!!ホント冗談抜きでブン殴るよ!?」 「人の話は最後まで聞け!!」 の肩をしっかり掴み、抱きしめていた腕をゆっくりと離した。すると三蔵は彼女の藍色の瞳をまっすぐ見つめ、たんたんと話し始めた。 その三蔵の真剣な様子に、は視線を外す事などできるはずもなかった。 「いつ俺がお前を嫌いだなんて言った?そんな言葉には覚えがねぇな。」 「だってっ、さっきだってせっかく作った夕食ほとんど手をつけてなかったし、いっつも話かけてもそっけないし、何より目を全然合わせてくれないじゃん!!だからっ・・・」 「ハーッ、ホント、お前アホとしか言いようがねぇな。」 「!?」 「だいたい、嫌いな女にこの俺がキスなんぞすると思うか?もしそうだったら悟浄あたりにでもそんな役は譲ってる。・・・あの河童なら喜んで引き受けるだろうからな。」 「じゃぁ、何で・・・・・」 「お前の意思を無視して、無理矢理元の世界に帰した事は悪かったと思っている。だがな、お前を無視してでも俺は・・・」 「俺は、お前を死なせたくなかったんだ・・・・・。」 今度は三蔵の言葉が震えている。はとても信じられなかった。 普段は尊大な態度とそれに見合ったカリスマ性を兼ね備えたこの男が、自分の前で体を震わせている。 あぁ、そうか。そういうことか。 ――――――あたしと、一緒じゃん。 「この先、もっと旅は危険になるだろう。天竺に近づくにつれて刺客の数も半端じゃなくなる。敵がお前の力を狙っているとも聞いている。・・・だからその前に、お前に危険が及ぶ前に、俺は帰したかった・・・・・。」 「三蔵・・・・・。」 「だが今回の事でよく分かった。情けない話だがな、俺はお前の作るメシじゃねーと舌が受付ねーんだよ。」 「うん、さっき八戒がそんな事言ってた・・・」 「それに、俺は・・・・・。」 「俺は、お前を離したくねーんだよ・・・!!二度とな・・・・!!」 やっと聞けた、この男の本音が。 胸の、ずっとつっかえていたモノが、目の前の男の言葉で少しずつ失われていく。 「だから行くな!!ドコへも行かないでくれ、じゃねぇと俺は・・・・・!!」 「三蔵、分かった、もういいよ。もういいから・・・。」 そう言うと、は少し背伸びして目の前の男性に軽くキスをした。 しかしそれは口にではなく、チャクラがある額に。 「!?」 「分かったよ三蔵、もういいいから。もう・・・」 「何を・・・」 「ゴメンね、あたし何にも知らなくて。三蔵がそんな風にあたしを想ってくれてたなんて思わなかったから。絶対嫌われてると思ってたし、でも一緒だったんだね、あたしたち。」 「お前・・・」 「馬鹿だなぁーそんな顔しないで、いつもの偉そうな三蔵に戻ってよ。アンタは何にもしないで踏ん反り返ってるくらいが丁度いいんだから。悟空達だって、絶対そう思ってるはずだよ?」 「・・・・・」 「アンタが行くなっていうなら、あたしはもうドコにも行かないよ。ずっとそばにいるから、三蔵のそばに、ね。」 そう言うと、は三蔵を抱きしめた。自分よりも15cmは大きい男性をそっと包み込む。 に抱きしめられ、三蔵は瞳を閉じた。 やっと逢えた。逢いたくて逢いたくて仕方なかった君に。 もう二度とこの手を、体を、離したくない。 ◆◆◆ ふと、は浮かんだ疑問を、今は落ち着いて普段通りに戻った三蔵に問いかけた。 「ねぇ三蔵、アンタあたしがいない間になんか痩せたんじゃない?前々から細かったけど、さらに細くなったよね?」 「あぁ?そういや10日間くらいほとんど水だけだったしな、5キロくれぇは減ったんじゃねーの。」 「5キロ!?ちょっ、大丈夫なの!?そういやお腹減ってない?さっきだってほとんど食べてなかったしさ!!よし、今から何か美味しいモノ作ってきてあげる、待ってて!!」 そう言ってはドアに向かいかけたが、またしても三蔵に腕を掴まれた。 しかも今度はそれだけでは済まず、腕を掴まれたと思ったらそのままするりと三蔵の胸の中へ引き寄せられた。 何が起きたのかとはワケが分からず、三蔵に疑問を投げかける。 「ちょっ、三蔵!?今度は何!?どうしたの!?お腹減ってるんじゃ・・・」 「確かに減ってはいるがな、どんなメシより美味いモンがあるじゃねーか、目の前にな。」 「え?何?どこに?」 「・・・・・・・・・お前だ、。俺にとっちゃーお前自信が何よりのメシなんだよ、食わせろ、今すぐな。」 「はぁ!?何言ってんの?冗談でしょ!?悟浄みたいな事言わないでよ!!」 「これが冗談を言っているように見えるのか?・・・四の五の言わねぇで食わせろ。」 「じょっ、冗談はやめてって・・・・お願いだから耳元で囁くのは止めてよーーーーー!!アンタの声ってすっごい腰にくるんだからぁ!!」 「そうか、俺の声がもっと聞きてぇなら聞かせてやるよ。・・・・これからいくらでもな。」 繋いだ手を、もう二度と離したくない。 逢いたくて逢いたくて、どうしようもなかったあなたに。 離してたまるか。 離してなんかやらねーよ、二度とな――――――。 -Fin- ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき 長かったですねーどうして私が書くとここまで長ったらしくなるのでしょうか?(笑) っーか謝らなくてはなりません、リクしてくださった翔葵様・・・。 申し訳ありませぇぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇん!!!!(←心から土下座/笑) アァァァァァ!!!!!何だコレは!!!何だこの三蔵は!!偽者にも程がるぅぅぅ!!(←今に始まった事じゃねー) BGMをGacktの『君に逢いたくて』でリクしてくださったハズなのに・・・ 全然なってねーよ自分!!ちゃんと曲聴けよオラァァァァ!!!!!(号泣) しかも話全然分からなくてスイマセン・・・本編で一度ヒロインを元の世界に帰そうかと思っているのですが、それに対する三蔵の気持ちなどをこのリクで書かせて頂きました。(←いいのかよ話全然進んでねーのに・・・) リクに全然お答えできなくて申し訳ありません翔葵様。修行が足りないって事でお許しを・・・(泣) でも頑張ったのですよ?(←突然なんだよ・・・笑) 三蔵に「私が言わせたいセリフ・ナンバー6」などを言わせてみたのです。(←上にまだ5つもあるのかよ/笑) 『(お前を)食わせろ』 ・・・・・・・・・・どどどどど、どうですか翔葵様!!同じ三蔵ファンとしていかがですかァァァァァ!!!(←コイツアホだ・・・) ご意見ご感想などがあればお気軽にどうぞ〜〜〜(笑) |