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   貴女が生まれきてくれた事が、こんなにも嬉しい。

  貴女に出逢えた事が、こんなにも僕らの胸を熱く、熱くさせている。



   そのワケ、秘密のカギは。


   間違いなく、それは目の前の小さな君が握ってる―――――。








   ―――”今日は何の日だか、当然分かってるんだろう??”







   「みーんな、どこ行っちゃったのよぅ・・・・・」



   誰もいない、大きな大きな大部屋で、小さな少女がポツンと立ちすくんで、呟いた。
   一番小さな最年少の悟空よりも15cmは小さいであろうと思われるその少女。12~15歳ぐらいといったところか。
   誰もいない部屋中を見渡して、明らかにいるハズもない誰かを探す。

   ―――――例えそう、誰もいない事は分かりきっているハズなのに。

   名前を、呼ばずにはいられなくて。




   「皆、いないの・・・?三蔵、悟空、ごじょ、八戒~~~。」



   そうか、やっぱり出て行ってしまったんだ。私が怒って、あんな事言ったから、皆もそんな私に呆れて。
   事の発端は悟空と悟浄。二人が私の愛用している大事なペンを、絵描きの魂とも言える大事なモノをうっかり落として台無しにしてしまったから。
   私が大切にしまっておかなかった事も確かに悪かったけれど。



   ”大ッキライ!!!”


   大事にしていたペンが二度と使えないと分かった時、あまりのショックで酷い事をたくさん口走ってしまった。
   ・・・二人が耳にしたら、絶対傷つくって分かってたのに。
  自分の壊れそうだった心を守るために、私は二人の心を壊したんだ。



   「―――私っ、・・・最低ッ・・・・・・・―――。」



   思わず少女の目から、涙が溢れ出した。溢れて溢れて、止まらなかった。
   必死に溢れる涙を止めようとして手で拭う。―――それでも涙は止まらない。



   「・・・・・ごめん、ごめんねッ・・・・・・」




  と、その時。

  部屋の窓が、勢い良く開いて、風が入ってくると共にカーテンも舞い上がった。
   ビュゥーという音が聞こえたと思ったら、入ってきた風のせいで目が開けられない。



   「やだっ、何ッ!?」



   少女は驚いて目を開けようとするのだがやはりそれは無理のようで。
   それでも必死に開けようとしていると、聞き慣れた声がそのカーテン越しに聞こえてきた。

   その瞬間、少女は風をもろともせずに大きな瞳を見開いた。




   「ゴメンな、お待たせっ!!―――って何泣いてんだよ!?誰かに何かされたのか!?」
   「ご・・・く、う・・・?悟空!?」



   少女の涙を拭う為に、窓側から金目の少年が一目散に駆けて来た。彼が、一番歳の近い少年、孫悟空。
   悟空が傍に走ってきてそっと少女の顔に触れ、目から溢れるそれを優しく撫でた。
   当の本人である少女は、突然入ってきた彼らに、自分の傍に駆けて来た悟空に驚いてただ呆然とする。

   するとカーテンの向こうから、またしても聞き慣れた声が聞こえてきた。少年とは違う、大人の男の声が。


   「どうしたんですか一体!?泣いてるんですか!?」
   「このサル!!てんめぇ~~~俺のモノを泣かせようだなんてイイ根性してんじゃねぇかよアァ!!オイなんとか言えよ保護者!!」
   「誰が貴様のモノだエロ河童が。と言いたい所だが先にサルの始末が先だな、大人しくしてろよ悟空。貴様が暴れると傍にいるソイツに当たる。」
   「なっ!?何言ってんだよ皆!!俺が泣かしたんじゃねーよ!!」


   そう言いながら近くまで来た三蔵・ごじょ・八戒の三人は、寄ってたかってぬけがけをした悟空を責める。
   当然悟空は銃をぶっ放されたのではたまったモノではない。片手を上に挙げて降参しながらも、少女の身体だけはしっかりと支えている。
   しっかりと、今にもフラフラで倒れこんでしまいそうな少女の身体を。

   まるで自分が”守る”のだとでも言うように―――――。


   そんな悟空を涙のいっぱい溜まった瞳で見つめながら、少女が三蔵に言う。



   「違うの三蔵!!違うよ、悪いのは悟空じゃなくて私なの!!私が悪いの・・・私が全部悪いんだよ!!」
   「お前、何を言って・・・・・」
   「私が泣いてるのは、悟空のせいでも、誰のせいでもないんだよ。・・・”私自身”のせいなんだ。私が弱いから、二人を”キライ”なんて
   言って傷つけた・・・どんな理由があっても、人の心を傷つけることなんてしちゃいけないのに!!私最低なんだよ、ごめんなさい、ごめんなさい!!
   どんなに謝ったって済まない事は分かってるけど、ホントにっ・・・私が生まれてきたからいけなかったんだ。私なんかっ・・・!!」
   「そんな事っ!!」



   傍で必死に謝る少女に、悟空が言葉を挟もうとしたその時、彼よりも大きな手が小さな身体を奪った。
   いつの間にかすぐ横へと移動してきたのは、美しい赤い髪と瞳を持った悟浄。少女の身体がフワリと一瞬浮かんだ。

   自分の胸の中へ少女を収めた悟浄が、優しい手つきで少女の涙を触りながら囁いた。



   「だーれが最低だって??そりゃ聞き捨てならねぇ言葉だな、一体誰がそんな事言ったんだ?」
   「私だよ・・・私が、二人を・・・・・」
   「あーもう泣くなって!!!前にも言ったろ?イイ女が泣くの、黙って見てられっ程俺はできた男じゃねーのよ?ホラ、いいから泣くのやめてコレ見ろよ。」
   「コレ・・・・・え??」



   悟浄が懐から少女に差し出したのは、どこかで見た事のある絵描き様のシンプルなペン。
   それもそのハズだ、それは今まで使っていて悟浄と悟空にいじられて壊されてしまったペンと同じモノ。
   そのペンを見て、少女は思わずハッとする。



   「ごじょ・・・コレ、もしかして・・・」
   「もしかしなくてもそうだって。―――悪かったな、壊しちまって。お前が大事にしてたの分かってたってのによ。ホント悪ィ・・・」
   「ホラ、そのペンいっつも使ってたじゃん?それ使ってる時は話しかけてもあんまり構ってくれなかったから、だから、その―――」
   「ま、早い話がサルと河童はそのペンに妬いてたって事だ。だからそのへんで許してやれ。」
   「っつ!?テメこんのクソボーズ!!余計な事言うんじゃねぇよ!!」





   もしかして、コレを買う為にわざわざ―――??
   そんな疑問を頭によぎった事が通じたのか、八戒もまた少女の傍に来て何かを見せた。

   差し出されて袋を開けて中を取り出してみると。
   ―――大きな絵描き様の、真っ白なキャンパス。
   そのキャンパスを見て、またしても思わず視線を合わせずにはいられない。



   「コレ、貴女なら何だか分かりますよね??」
   「分かるけど・・・何で、コレを私に。」
   「まさかお前、今日が何の日だか当然分かってねぇワケじゃねぇんだろう??」






   ”ハッピーバースデー、今日はお前が生まれた日だ。”





   ナゼだか、泣きたくなった。
   どうしようもない程に、泣きたくて泣きたくて仕方がなかった。

   自分が生まれた日、なんて、自分でも忘れてたのに。
   ―――覚えててくれた。




   「わっ!!!また泣き出した!!」
   「とととととととと!!ストップストップ!!だから泣くなってマジで!!」
   「どうしてっ・・・どうして私の誕生日なんか覚えてたの・・・。あんなに酷い事たくさん言った私の誕生日なんか・・・」
   「ええ、確かに貴女は言いましたね、”キライ”と。そんな言葉、言われれば誰だって傷つくと思います。でもさっき貴女はこうも言いましたよね、
   ”どんな理由があっても、人の心を傷つけることなんてしちゃいけない”。僕もそれに強く同感です。それは誰もが心の奥底では分かっていながら
   なかなか気づけない事で口に出せない事なんです。それを貴女は知っていた、言葉にできた。そんな貴女が最低なワケないじゃないですか。
   貴女にそんな事を言う人が居たら、間違いなく僕がぶっ飛ばしてますよ?」
   「八戒・・・。」
   「・・・お前が言うとマジでシャレになんねーんだけど。」
   「何か言いました、悟浄??」
   「いーえ何でもありませぇん!!」
   「じゃあ私っ、私、生きててもいいのかな・・・皆の傍に居ても・・・いいのかな。」



   少女が四人に囲まれながら、言葉を詰まらせた。目から溢れる涙は止まったものの、今にもそれは突然溢れてきそうだ。

   それをもろともせずに悟空がきっぱりと少女に向かって言い放つ。



   「いいに決まってんだろ!!あ、でも傍で笑っててもくれたらもっと最高だけどな!!」
   「もっと他に言い方ねーのかよサル。ま、ホントアレだ。いい女になれよ、ってそんなん言うまでもねーな。俺好みのいい女になることは間違いねぇ。
   今から心の準備しとけよ?俺、お前の為にいつでも胸開けて待ってるからさ。」
   「もぅ悟浄、貴方こそ他に何かないんですか?僕らが何の為にキャンパスとペン、この二つをプレゼントしたのか分かってないわけじゃないでしょう?
   ・・・彼女の未来を、これからを思っての、僕らからの。」
   「私の、これから??」



   そう疑問を投げかけると、三蔵が少女が胸に抱えたキャンパスをひょいっと取り上げてページを一枚めくり、その真っ白なページを指さしてこう言った。





   「―――ここにお前だけのこれからを、自分だけの何かを描いてみせろ。美しいと思ったモノも、見たくないと思ったモノも、お前が見たモノ全部をな。
   生きていけば色んなモノを見ることになるだろう、だがそれらから目を逸らさずに描いていくことができれば、お前はきっと良い絵描きになれるさ。
   しかしそれは、すべてお前次第だがな―――――。」
   「そうですね、でも僕は信じていますよ。貴女の絵が、どれだけの人を幸せにするのか、優しい気持ちにさせるのか、それを知っているから。
   貴女の描く絵が、僕らは大好きなんです。・・・もちろん貴女のことも、ねvv」
   「あっ、それはズリィだろ八戒!!こんな時に口説くなんて反則だろうがよ!!」
   「河童がトロイだけだろ?俺もっ、マジで大好きだかんな!!絵も、お前もな!!」
   「このバカザルが!!お前まで何を言い出しやがる!!」
   「プッ・・・クスクス。」





   やっと笑った。笑ってくれた。こんなにも大切で大切で仕方のない君が。


   君はいつか気にしていた。ぼそっと呟いていたことがある。
   ”私、どうしてこんなに小さいんだろう。”と。
   もっと背が高ければ、大きければ、四人の事を守れはしなくても包み込める事ぐらいはできたかもしれないのに。
   背が小さい事が、私のコンプレックスなの。と君はそう言った。

   でも君にとっては一大事でも僕らにとってはそんな大した問題でもないんだ。
   小さくても大きくても、君が君であることに変わりはなくて。
   ただ僕らにとって大事な事はたった一つ。





   ”君が描く風景やものの隣に僕らが寄り添っていられたら、傍で君が描く様を見ていられたらそれだけで嬉しいから。”



   そう言いたいけれど、言葉に出すのはやめておく。言えばきっと君は笑い出すのだろう。

   でもそう言い出したのは君の方だった。





   「ねぇ、皆にお願いがあるんだけど、聞いてくれるかな?」
   「お願い?」
   「うん、あのね、大した事じゃないかもしれないんだけど。あ、やっぱ大した事かも・・・」
   「何だよソレ。どんなお願いだよ?」
   「うん・・・・・。」










   ”私が描いていくキャンパスの中に、皆が居てくれたら、きっと私幸せだろうなぁー。”











   ―――――――――――――――Happy Birthday, ひじき様!!
                                                                     14歳の、貴女の誕生を心から祝って。

                                                2005/2/15 AM4:49,♪day after tomorrow ”Dear Frends"より――― 管理人

   -Fin-




   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




   はい、というワケでBD企画モノです。いかがだったでしょうか~。
   小説そのまんま、2/15お誕生日のひじき様へ(かなり勝手に/笑)捧げる私からのプレゼントです。
   個人的にひじき様へ捧げたかったので、今回はワザと名前変換はナシにして、ヒロインの名前も最後まで伏せました。
   そのせいかたいがい難しかったです。・・・しっかし読み直して思いましたが、私ホント、文章センスのかけらもありませんな(笑)

   ひじき様が2/15BDだということは、2月の上旬ぐらいからずっと頭の中にあって、”何書こうー”と色々考えてました。
   もー大人として情けないぐらいお世話になりっぱなしだしなぁ、せっかくだから何かやりたいなぁ、とテスト期間中も考えてました。(勉強しろ・・・)
   寸前までストーリーが全然決まらなくて、元々あるハズもない脳みそを必死に取り出して書き始めたのが2/15AM12:30。
   書き終わったのが同日AM4:49。つまり生まれて初めて徹夜で書き上げました。(苦笑)
   ・・・・・・初めて徹夜しちゃったよママーーーン!!!!(笑)中・高と試験勉強でも徹夜なんぞしたことなかったのに、ダメなお・と・なvv(→全くだ/笑)

   いつだったかひじき様が、”背が小さいからもっと大きくなりたいなぁー”みたいな事を言っていた事を思い出しまして、
   せっかくだから取り入れてやろうじゃないか!!と書いた結果がコレです。
   ・・・・・もっと上手く表現できなかったのか自分よ。将来絵描きを目指す、絵の大好きな女の子って設定だったんですが、イマイチだったかも。
   ですが文章の中で彼らが言ったことは、言うまでもなく全て私の思ってることの代弁です。(笑)
   このDear Frendsの歌詞にあるように、”君が くれたもの ずっと この胸に 忘れずに いたいと願う・・・”正にその通りです。
   失くしかけていた大切なモノを、ひじき様という存在と彼女の素晴らしい絵が思い出させてくれるのです。
   だから私は彼女のファンであることをやめられないのでしょうね、きっと。それはこれからも変わることはないでしょう。


  
    とにかく私は彼女に心から言いたいです。
   ”生まれてきてくれて、ありがとう。”と。